少年社中×東映「パラノイアサーカス」(配信)感想

ニコニコ生放送の配信で見たので感想です。 普通にネタバレあり。

 

今まで見た少年社中は「トゥーランドット」と「ネバーランド」(配信)でしたが、その中で一番好きでした。

江戸川乱歩は怪人二十面相くらいしか読んだことがなかったのですが、タイトルやストーリーは聞いたことがあるものも多く、楽しめました。

事件!探偵!怪人に怪盗!そこに現れたメタ存在小説家!という全部載せが嫌いなわけないじゃないですかー!

わかりやすくルパンが好きで、正体が明かされた後の「ファンサービス」という言葉があまりにもドツボでした。「作家」と「物語」を描いた作品だけど、小説家の彼と江戸川乱歩の関係は、ファンと作家という関係性だからこそ私は惹かれたのかなと思いました。

感想取り留めなくなるので、ラストを見た私なりの解釈について書こうと思います。

小説家は自身の妄想の世界を去り、それから物語を書くために再び妄想の世界へと戻ってきます。

それ自体パラノイアの繰り返しなのではという気もしますが、私は小説を書くのはやっぱりどこか狂っていないとできないことのような気がするので、妄想の世界へと舞い戻る小説家の姿は割と前向きなエンドとして受け止めました。

私自身は健康的な生活を1週間送ると全く小説を書こうという気持ちがなくなるので、妄想の世界に入り込むというのは不健全で、それゆえに救われる行為なのかもしれません。

おそらく現実の世界で生きていくのなら彼の書く「パラノイアサーカス」は完成しなかっただろうなと思います。けれど、この物語の先で、読者は「パラノイアサーカス」を読めるんだろうと思うと物語オタクの私は、小説家の幸せよりもそんな世界を望んでしまうのです。