2021/1/11公演を見ての感想。ネタバレあります。
初ステアラ
初ステージアラウンド東京。本当に座席が回転するので面白かったです。座席もですが、巨大スクリーンにも驚いたし、座席が回ることよりもこのスクリーンを使った演出の方がわかりやすくダイナミックに感じました。 あと酔うという評判を聞いていたのですが、座席が動くよりもこのスクリーンの演出効果で酔う気が。
最初におおっと思ったのは切り立った岩場っぽいところのシーン。ものすごく高低のあるセットで、キャストは大変そうだと思いつつもものすごく見応えがありました。ピューロランドのフェアリーランドシアターを思い出しました。作りがテーマパークっぽい。
舞台って背景やセットがありつつも観客の想像に委ねる部分があり、刀ステもシーンによって同じセットでも全く別の風景を想起させてくれてきたわけですが、もう今回はステージがいっぱいあるのでどーん!バーン!これが真田丸です!って感じでしたね…。
シリーズものとしての天伝
物語としては悲伝より前の話らしい。最初にこれまでの舞台の演目が時系列でずらっと表示されたのですが、全然見切れなかった。パンフレットにも載ってるんですかね。(通販待ち)
ただ、太閤左文字だけは、別時間軸で一期一振たち他の刀剣よりも未来の本丸からやってきていることが明かされます。太閤左文字が顕現した時には山姥切国広は本丸におらず、修行に行ってから帰ってきていないので会ったことがないという衝撃事実が割とさらーっと序盤で語られるので、これがずっと気になってしまうという。
「歴史を初めから」というキーワードだけが語られ、山姥切は三日月を取り戻すために何かをしているらしいということが今回わかった話。ジョ伝で同じ本丸の別時間軸の存在との邂逅がありうることはすでに提示されていたわけですが、こうなるといつも遭遇しない方が不思議な気がしてくる。
今回は敵の狙いが歴史改変ではないので、割と素直に大阪冬の陣をなぞっている。
一番度肝抜いてきた解釈が徳川家康で、こんなにバーサーカーみたいな徳川家康おる????
ミュの徳川家康像がかなり為政者としての面が強かったので、同じ方向では来ないと思ったけどそれにしてもめちゃくちゃ大味の徳川家康でした。
一方の豊臣秀頼は頼りないんだけど、人間的魅力を感じさせるラインがを攻めててわかる〜と思いました。キャスト発表された時に小松くんはわかるなと思ったけど、ぴったりだった。
加州清光の話
とりあえず語るポイントとして加州清光です。私の近侍。松田凌の加州を見たくて見に行ったと言っても過言ではない。
私は末満さんの2.5は原作ファンとしてあんまり好みじゃない(刀ステはもうオリジナルだと思っている)と感じていて、加州清光の解釈もどうかなーと思ったのですが、なんだこれ最高でしたありがとうございます!!!!
全体的に殺意高めでちょっとガラが悪くて山姥切国広と旧知感のあるところがもう最高によかったです。でも結構正しく2.5次元の加州だったので末満さん的萌えとかこだわりあんまりなさそう。(こだわりありそうな例:骨喰)
山姥切との会話はめちゃくちゃ好きで、あーこの距離感はいいなと思いました。初期刀組それぞれにかっこよくて刀ステの蜂須賀も見たい。
あとはこのメンツの中で加州が今回出陣した意味がわかるのが徳川家康とのシーン。今回出陣した中で加州清光は未来の刀。彼が振るわれたのは、徳川家康が築いた三百年の時代の終焉。この2人の対峙はパズルのピースがはまったかのような鮮やかなシーンでした。
山姥切国広の話
シリーズものとしての山は山姥切と弥助の戦い。そういえばさらっと「歴史の奴隷」という不穏な単語が出てきてにこにこしてしまった。刀剣男士はこれを否定はできないだろうなと思っています。否定はできないけれど、山姥切国広は「失う覚悟はできている」と言う。
台詞だけ聞くと綺麗事だなと思う。よくよく考えると山姥切国広ほど綺麗事を言うのに似合う刀はいないなと思うのは、私が彼を基本的に素直で純真だとらえているからかも。ただ、彼は悲伝のあとは同じ言葉を言えないような気がする。覚悟はあって、それを果たしたのだから、この言葉はまことには違いないけど、だからこそ失ったら言えないのでは。
弥助が出してきたのが審神者の手なの割とひゅっとなったんだけど、この世界観でも審神者は複数人いるというのは確かなんだなあ…。
真田の話
人間サイドの物語としては、真田が一番胸にくるものがあって、そもそも大阪の陣の真田って悲劇の人物ではないですか…。これまで多数の物語で描かれてきたわけじゃないですか…。こんな可哀想な真田おる…?
うっかり「グランギニョルだった」という感想を見てしまい、意外とハッピーエンドなのか?と前向きな方向で見ていたのだが、そういう意味ではなかった。グランギニョルの悲惨な方のシーンだった!
諸説に逃がすというなら余計なことせずにひっそりと秀頼を逃がす策略を立てればよかったのでは?と思うのだけど、正史というのはそれすら許さないほどに強い運命なのでしょうか。
皮肉なのは結果として、真田は歴史に一矢報いて正史を改変するんですよね。こんなむごい話ありますか…。
刀ミュと刀ステ双方に物語の世界を展開しているけど、天伝で明確に諸説を許容する刀ミュと諸説を許さない刀ステという方向が出てきたおおっと思いました。個人的に同じものやってもつまらないのでそれぞれの方向でばちばちに面白い話作って欲しいです。
秀頼サイドとか一期一振と兄弟の話とか
そして秀頼サイド。これは最後にまとめて書こうと思っているマイナスポイントにもつながるのですが、もうちょっと秀頼と一期一振にドラマがあってもいいかもと思いました。
最後の蒼い空は絵としてあまりにも美しく、前述の真田との対比がやばい。このあたり末満さんの情景を描く力は本当にすごいなと思います。
一期一振は本田プロなので、何の心配もなく、見ていても完璧な一期一振でした。維伝の蒼木くんのむっちゃんがあまりにも肉体として強いと感じたのに対して、本田プロの一期一振、あまりにも肉体の動きが美しすぎる。全く体の軸がぶれないのどういう体幹しているんだろうと思った…。若干ロボットか!?くらいのぶれなさが私の思う一期一振でとてもよかったです。
あと今回一期一振が「兄をしている」というより「兄をさせてもらってる」というのが結構わかる表現だったのも面白かった。このシーンがというよりも、鯰尾や骨喰とのやり取りで、自然とそう感じていいなと思った。
今回初めましての前嶋くんの鯰尾はすごい美少女でした。美少女の顔でめっちゃ男の子という感じですごいよかったです。
虚伝の一期と鯰尾の大阪城回想が私はちょっと解釈違いだったのですが、今回はそういう感じ〜と思ったのはキャストの芝居なのか末満さんの演出なのかどちらなんだろう。
久しぶりの北川くんの骨喰は2.5次元の骨喰だった。
太閤左文字は私の本丸にいない完全に知らない子だったので、一人称が「わし」でびっくりした。今回立ち位置的に美味しいというか面白いポジションだった…がやっぱり秀頼様との間にもう一エピソード必要では?
久しぶりの宗三左文字もどういうポジションなんだろうと思ったら、よく考えたら彼も豊臣にあった刀だったし太閤左文字と兄弟という関係だったことに見てから気づいたのでした。虚伝より元気そうでよかった。兄弟の中だと案外太閤と一番話が合うのでは。
まとめ
色々あったけど終盤の客席をぐるっと回しての360度で繰り広げられる殺陣は本当にすごかったです。圧巻という言葉しかない。目が足りない。散々くら寿司という文字を見たせいで「ソイヤソイヤ」でマグロとか寿司が浮かんでしまってちょっと笑ってしまったのは事故。
ちょこちょこ書いてきたけど、マイナスポイントとして感じたのは複数の話があんまり収束せずに終わっちゃったところ。今までの刀ステでも複数走っている物語が綺麗に纏まったなと思う話とそうでもない話があって、今回は完全に後者。
シリーズものとしての山場である弥助と山姥切の対戦、徳川家康と加州清光、真田の悲劇…ときて今回のメインである一期一振と秀頼のエピソードが弱ええ! 豊臣秀頼でドラマ作るのは普通に難しいので、まあこうなるとは思うのですが、他が強い分ちょっと霞んでしまった。あと蒼空のくだりもうちょっと伏線あってもいいんじゃないかな…。それで納得していいんかー????
このあたりのドラマは私が見たのが2公演目だったということもあり、千秋楽に向けてまた印象は変わって来るのかなと思うと正直あと3回くらい行きたいっす…。
今回物語以上に場面場面の絵がすごくて、それだけでチケット代16000円の価値はありました。そもそも幕が開くのかが不安な中で、見れただけでもよかったというべきなんでしょうが、この言葉ってキャストスタッフには失礼だなと思うので、素直に面白い舞台が見れてよかったと言いたいです。
無事3月まで公演できますように…。あとすでに舞台機構トラブルで上演中断になっているのですが、舞台側も頑張って…。