毎年恒例読書振り返りです。
ビブリアというアプリで読んだ本を記録しているのですが、普通に抜けているものもありそう。
とりあえずビブリアだけで33冊、再読していた『ウィザーズ・ブレイン』が普通に入ってないので最低プラス20冊ですね。去年45冊とか言ってたのでほぼ同じかもう少し読んでいたかも。仕事関係の本も去年よりは読んでいたし…。漫画は全然記録できていないのだけれどよしながふみの『大奥』を全巻読んだので。
今年のベスト本といくつか記憶に残っている本についてピックアップして語ろうと思います。
ベスト本『卒業生には向かない真実』(ホーリー・ジャクソン)
去年本当に年末に読んだ『君のクイズ』がマイベストブックだったのでギリギリまで暫定ベストでしたが、そのまま私の中のベスト枠を保持してゴール。(7月発売・読了)
3部作の完結編で、1作目の『自由研究には向かない殺人』を去年読み、今年2作目の『優等生は探偵に向かない』とこの最終巻の『卒業生には向かない真実』を一気読みしました。
現代イギリスを舞台に、優等生で正義感の強い少女ビップを探偵役として、小さな街で起こった事件を解決するミステリ…なのですが、2作目以降このあらすじでは語り切れない展開になっていくのが面白いところだと思っています。ミステリなので読んでくれとしか言えないのですが…。
『自由研究には向かない殺人』はSNSを駆使した捜査やイギリスのティーンの生活がリアリティたっぷり(私はイギリスのティーンを知らんけどそう思わせるように)に描かれていて、この時点で単純に面白い。読み終わった時点で3部作と聞いて、でもこの路線なら3作と言わずにいっぱい作れそうだなーなどとこのときは考えていたんですよね。
そこからの2作目の『優等生は探偵に向かない』は同じように事件を追いかけていくのかと思いきや、衝撃のラスト。最終巻の『卒業生には向かない真実』は本当に「えっ!!!!????」という感じでした。ネタバレなのでなにも言えることがない…。
『卒業生には向かない真実』の展開が許せない人もいるだろうなと思うし、結構読む人を選ぶ作品だとも感じています。でも、私はこの物語がめちゃくちゃ刺さった。シリーズ全体としては二作目が本当に悲しくて、好きなんだけど、三作目は「ヘキ!!!」って感じなんですよね。(ネタバレにならないか不安な発言です)
来年1月に前日譚が日本で翻訳・発売ということでこちらもめちゃくちゃ楽しみにしています。
ちょっとボリュームあるのですが、読み始めると止まらないタイプの作品なので年末年始にいかがでしょうか。
ちなみに私は『卒業生には向かない真実』が楽しみ過ぎて転職活動の最中に無心で読むための2日を確保して伊豆の旅館まで押さえたのですが、その前に読んでいたニクラス・ナット・オ・ダーグの『1973』が全然読み終わらず、帰りに三島の喫茶店でひたすら読んでいました。(電車の乗り換えなんかで中断されたくない気持ちになってしまったため)
『本の背骨が最後に残る』を読んでくれ
ベスト本ではないのですが、今年一番読んでほしいと思った本は『本の背骨が最後に残る』です。おなじみ斜線堂有紀の短編集。
私はいわゆるオタク用語の「信者」という言葉があまりしっくり来ず、どれだけ特定のクリエイターや作家が好きでも「信者」と呼ばれるほど信奉も盲信もしていないんだよなあと思っています。(過去信者的に好きだった作家はいるし、名乗っていたこともあります)
斜線堂有紀に関しては、外からみたら立派な斜線堂有紀信者に見えるんだろうなと思いつつ、私の中では傑作と好みじゃないかなあ…というところに分かれる作家です。(ただ書いてる作品数が尋常じゃないので斜線堂有紀の傑作めちゃくちゃあるんですよね…異常…)
そんなスタンスなのですが、『本の背骨が最後に残る』は間違いなく斜線堂有紀の傑作です。
表題作は元々アンソロジーに収録されたものを読んだときからめちゃくちゃ好きで、短編集になるのめちゃくちゃ嬉しかったです。
人間が「本」として物語を語り、誤植と断じられた「本」は火にくべられるという世界。「本」たちはどちらが正しい物語か」を論じる「版重ね」で命を懸けて戦います。SFとしてみたときの世界観の面白さ、「正しい物語である」と納得させた方が勝つという「版重ね」のルールに則って戦うのはミステリの趣向。まさにジャンルをまたいで活躍する彼女の本領発揮という一本。
なんと単行本化で書下ろしで新しい「版重ね」が読める!最高!
他の短編もどこか恐ろしいような、わくわくするような世界が描かれていて、面白い物語を読みたい人にとにかくおすすめしたいなと思う本でした。斜線堂有紀のおすすめを聞かれたら今は『本の背骨が最後に残る』を答えます。(前は『楽園とは探偵の不在なり』かキネミスか…という感じでしたが、ミステリ読まない人にもおすすめしやすくなって嬉しい)
『ウィザーズ・ブレイン』完結
もう今年の一大事件ですよ…。
2001年にスタートして、オリンピックと同じペースでしか新刊がでないと言われながらものんびりと続いていたものの9年新刊が出ず、さすがにもう完結しないだろうと思っていたライトノベルシリーズの堂々完結。最初に手に取ったのってたぶん私が小学生の頃だ…。
話を覚えていなかったので9月頃から再読して完結を見届けました。割と話を忘れていたので普通に「Ⅷ落日の都」で「あれっ!? そうなるんだっけ??」と新鮮に驚いた。お得すぎるな。
noteの日記でも書いたんですけど、思い出すと「Ⅷ落日の都」でサクラの物語が終わっていて、残りは余生なんだなあと思っていたので、そういう意味では続きが出ないことにあまり未練とかもどかしさはなかったのかもしれない。さすがに自分も年を取ったので昔読んでいたときと同じテンションでは楽しめていないのかもしれないけど、「Ⅷ落日の都」は美しくて残酷な恋の話なんですよねえ。
思い返すと自分が小中学生の頃はディーとセラが好きだったんですけど、もう少し大人になってサクラのことが好きになり、今はすごく思い入れを持って好きなキャラはもうぱっと浮かばなくなっちゃったんですけど、やっぱりサクラのことが好きかもしれない。
十二国記の短編集もまだ出ていないので、ウィザブレの短編集も4年後くらいに出たらいいなと思ってたんですけどなんか普通に年明け出そうなのでびびってます。
完結・新刊ラッシュ
ウィザブレが完結して世界が滅びるのかな…と思ってところにまさかの葉山透先生の『9S』シリーズ完結のニュース。マジで!!!!?????電撃文庫なくなるの!!!!????
『9S』もすごく好きなシリーズだったのですが、途中から新刊が全然出なくなり、他のシリーズは出ていたのでいつかは…と思って正直意識から消えていたシリーズでした。意識から消えていたんですけど、月に3回くらい俺の考えた最強のカイオエのパロ設定を考えては「これ9Sじゃん…」って思うのを繰り返していたので、虫の報せだったのかも…。
そんなわけでこれから9Sの再読をしたいです。9S私の好きなカップリング…みたいなあれなんですよね。
そう思っていたらさらに加納朋子先生の「駒子シリーズ」の20年ぶりの最新刊、米澤穂信先生の『冬期限定ボンボンショコラ事件』となかなかでなかったシリーズの最新刊が出るお知らせが続いて、本当に2024年で世界終わるんじゃないかなと思い始めています。
シリーズじゃないんですけど、ずっと好きだった入江君人先生が今年久しぶりに新刊を出されていて、やー嬉しいなという気持ちにもなりました。
この調子で『東京レイヴンズ』も完結しませんかね…。
ライトノベルだとよくアニメ化後にシリーズの続きが出なくなるという現象があって、誰だか忘れちゃったんですけど作家の方が「とにかくアニメ化のタイミングで特典小説を書いたり、新刊を多く出したりしないといけなくて燃え尽き症候群になる」とおっしゃってた記憶があるんですよね。
アニメ化じゃなくてもある程度長く続いたシリーズの終盤を書ききるというのは大変なことで、20年くらい「気」を貯めないと書けないのかもなあなどと思いました。逆に20年待てば出ることがあるのかもしれない。
東レもまるマもあと10年くらい待つかという気持ちになった2023年でした。
(しかしネヴァジスタの幽霊島は20年でも待つよお!と思っていましたが、まほやくのアニメ化の報を聞いて20年じゃ足りないかもしれん…と覚悟を決めました。2028年普通にまだまほやく完結してなさそう)
銀英伝(Audibleで)読了
本編のみですが読み(聞き)終わりました!
ちょうど昨年末掃除しながら聞き始めたので、ほぼ1年かけて読了です。そう思うと結構聞いた気がします。
私はナジミスト(幼馴染をこよなく推す人)なのでキルヒアイスが好きだったんですけど、このタイミングでこうなるんかい…!という感じで…。
めちゃくちゃハマるという感じではなかったのですが、一回読んでおいてよかった気はします。SFというより壮大な戦記物という感じでいろいろ思うところもあるのですが、最後まで読み切るだけのエネルギーはあったと思います。
フジリュー版の漫画もちょっと気になるので来年読みたいです。
そんなわけで来年も面白い本にたくさん出会えたらいいなーと思います。
何か面白い本があれば教えてください!