まほやく

1章 孤島への招待

「賢者様をお連れしたよ」 その朝、私はカインに呼ばれて魔法舎の談話室に向かっていた。談話室にはすでに先客がいる。アーサーとドラモンドさん、クックロビンさん。中央の国から賢者と賢者の魔法使いへ依頼があるとはカインから聞いていたが、クックロビン…

プロローグ

 あの事件のことを時折思い出す。 よく晴れた雲一つない朝、夕立で湿った空気、夜明けの地平線。そういうものに再会した時、私は記憶の中に眠った事件のことを思い出し、ささくれを引っ張ったような痛みを覚える。「ラスティカってば、また知らない人を鳥籠…